ぬままな様の投稿で、今回はバンブメモリーのはなし。「武家」として武邦彦さんから代々応援しているファンの方も、いらっしゃると思うんです。
そんな方に、このバンブメモリーという馬は、たまらないのではないでしょうか?文章の結びの部分で、「確かにそうだよなあ」っと思わず口にしてしまいました。
では、どうぞ。
第5話.バンブメモリー編
1990年12月、暮れの中山でスプリンターズステークスは行われました。
G1に昇格した最初の年で、ここを勝つと栄誉ある初代チャンピオン。武豊が騎乗するバンブーメモリーは、調教師が武邦彦ということもあり、親子制覇もかかっていた大一番でした。
レースは、スタートを決めるといつものように後方待機。そのまま4コーナーを回り、残り200メートルで末脚爆発、後続に1馬身つけての圧勝劇でした。
しかも1分7秒8の日本レコード。
「すごい!1分8秒を切る馬がついに現れたか」と興奮したことを今でも覚えています。後方で待機しながら、直線ではきちんと進路を確保し伸びてくるところは、さすが武豊でした。
武豊とバンブーメモリーといえば、遡ること1年前、オグリキャップと死闘を繰り広げたマイルチャンピオンシップでの名勝負。
ちょっと待ってよ、オグリ何で出るの?来週ジャパンカップでしょ
いくら大人の事情があったにしても・・・ダメでしょそれは・・・そんなこんなでレースは始まりました。
出遅れ気味にスタートしたオグリは、すぐに中段グループに取りつきます。その直後にバンブー。
4コーナー手前でオグリの手綱は大きく動くのと対照的に、バンブーは手綱を持ったまま抜群の手ごたえで大外を回し、オグリに出し抜けをくらわすのでした。
「見事!武豊 ここで勝負あり!」と見た私はビールの注がれたグラスへと手を伸ばします。直線バンブーもさらに脚を伸ばします。
あっっガッチャーン!!あろうことに私は、グラスを倒しビールをぶちまけてしまったのです。
慌てる私の横から杉本アナの実況が、「バンブー先頭!内からオグリが2番手まで上がってきた!バンブーが逃げる!オグリが負けられない!内からすくう!内をすくう!内か!外か!わずかに内かっ~~!」
テレビ画面から目をそらしていた私には何が起こったかわかりませんでした。「わずかに内か???」さらに続けて杉本アナから、「負けられない南井克巳!譲れない武豊!」という名言が飛び出します。
これで接戦になったことはわかりましたが、まさかあの位置から来るとは思えませんでした。そしてテレビからVTRが・・・あぁぁぁー届いてるぅ・・・
後に武豊は、「バンブーメモリーを内に入れて後方のオグリキャップの進路を阻むことも可能だったが、勝負したかった」と述懐しています。
武豊は、内ラチ沿いに迫るオグリキャップの進路を敢えて空け、一騎打ちを挑んだのでした。
武豊は教えてくれます。
力と力の真向う勝負こそ、名勝負として後々まで語り継がれる事を