個人的なことですが
今年のお盆休みはかなり長くいただいたんです。
ブログを書いてきて疲れを感じる事も多くなってきましたし、「リフレッシュしたい!!」との願望が強くありましたので、現在も休みを満喫しています。
ここ最近、アウトプットばかりしていて、インプットする時間が足りない事に気がつきました。武豊騎手に対して、自分が持っている知識をすべて吐き出すようにしてきました。ですから、現在は頭の中がカラッカラ。
休みで遠出をすることも多く、移動する時間も多いため、本を数冊持ち歩いています。そのなかの1冊が、「世界一の馬をつくる」でした。
発売されて間もないころ、いちど読んだのですが、今また読み返してみようかと。今回は、その感想文みたいなものです。この時期になると、夏休みの宿題で、読書感想文によく追われたものです。大の苦手で、文章を書くのが好きな人がいるのか、問いたいですね(笑)。
では、どうぞ。
世界一の馬をつくる
本の構成
世界一の馬をつくる、構成は以下の6章にわかれています。
- ゼロから牧場をつくる
- 「北の生産拠点」ノースヒルズ
- 「美しい前線基地」大山ヒルズ
- 優駿たち
- ダービー連覇
- 「世界で戦うために」ホースマンとして
ページ数は、約200ページほど。
文章量が多く、読みごたえがあります。
本の内容は、前田幸治氏の生い立ちから現在に至るまで。さらに将来に向けた展望が、かなり克明に記されています。そのため、前田幸治オーナーに対しての興味はもちろんのこと、サラブレッドの生産にまで興味がある人は、おすすめの一冊です。
武豊騎手のファン、キズナのファンの方は、メインで書かれている訳ではないので、購入を検討している方は、その点に注意して欲しいです。
説得力とは「何を言うか」ではなく、「誰が言うか」
非常に文章量が多い本で、ともすると冗長になりがち。
しかし、読みきることができるのは、前田幸治氏の言葉に説得力があるところに尽きる。説得力とは「何を言うか」ではなく、「誰が言うか」改めて痛感させられます。
ようやくこの言葉に説得力を持たせることができるようになった。
引用元:世界一の馬をつくるp5
人には「運がいいですね」と言われることがある。それに対し、前田幸治氏は、様々な試行錯誤をかさねた結果、つかみ取ったのだと。馬の素人だった私が、ダービーを連覇した今だからこそ、「世界一の馬をつくる」この言葉に説得力を持たせることができるようになった。このように綴られています。
前田幸治氏の印象は豪の人
・豪胆
・豪傑
・豪快
このようなイメージを持っておりました。
本書にも、そのようなエピソードが記されています。
私もできるだけ応援するつもりで、キズナの単勝馬券を購入した。
引用元:世界一の馬をつくるp161より
キズナのダービーを控えた時のエピソードです。
武豊騎手が、「1番人気で勝ちたい」と話していたのを思い出し、前田幸治オーナーが馬券を買って後押しをした。さらに当日にも、佐々木晶三調教師から「1番人気の方が勝率が高くなるんです。」この言葉を受け、追加で馬券を購入したようです(笑)。
私が騎手なら「オーナーやめてください」なんて言いそうですね。いや、確実に言います(笑)。武豊騎手もそうですが、それに応える前田幸治オーナーもさすが。さらに追加で、1番人気にしてくれ!!と頼む佐々木先生も凄い。
ダービーの勝利を掴みとることができる陣営というのは、このぐらいの豪快さというか、豪胆さが必要なのでしょう。ただ、この本を読み進めていく内、豪でありながら柔でもあることに気がつく。
前田幸治氏は豪だけではなく、「柔」も備えている方。
前田幸治氏が、アメリカの牧場3つを訪ねた時に質問したこと。
「いつまで夜間放牧をしているのか」
引用元:第2章「北の生産拠点」ノースヒルズp60通年夜間放牧アメリカの常識-日本の非常識の項
この前田幸治氏の問いに対し、どの牧場で質問をしても、「朝の6時まで」としか返答がなかった。
前田幸治氏の聞きたかった事は、時間ではなく、期間が知りたくて質問を投げかけていたが、返ってきた答えは意図したものとは違っていたと。
アメリカの常識では、一年中夜間放牧をしているから、「いつまで夜間放牧をしているのか」この問いに対して、時間のことしか返ってこなかったと。これを受け、「ノースヒルズでもできる」だろうとなり、さっそく夜間放牧を始めることになる。
この夜間放牧を日本で初めて取り入れ、奇しくも、その時期から馬が走りはじめた。このように前田幸治氏は本書のなかで語っています。これ以外にも、様々な手法を柔軟に取り入れ、ノースヒルズを大きくしてきたことが記されています。
前田幸治氏の考え方、捉え方。
競馬って非常に難しい。
様々な解釈がある。
コップに水が半分入っている事実。
このひとつの事実に対して、解釈はいくつもあるところが競馬の難しさだと思う。
「もう半分しかない」
「まだ半分ある」
あくまでコップの水は半分で、このひとつの事実に対して、解釈の仕方や捉え方は人それぞれ。
前田幸治氏の独自の捉え方
前田幸治氏は、コップを水で満たそうという考え方。もう、まだ半分という概念ではない、独自の捉え方に感じる。たとえダービーを連覇したとしても、自分の理想という、さらなる大きなコップを水で満たすため、理想とのギャップを埋めようと努力を続ける。
「世界一の馬をつくる」この目標が明確であるから様々な手法を取り入れる事ができるのだろうし、決して現状に満足することがない、あくなき探究心は前田幸治氏の原動力になっているのではないでしょうか。
まとめ
前田幸治氏の生い立ちからはじまり事業を起こして成功する。さらに馬の素人同然からはじめてダービー連覇に至る経緯には、爽快感がある。
あとがきには、修学旅行の際のエピソードがあります。
中学生だった前田少年は、夜行列車で10時間かけて東京に着いた。その時、皇居を見学して、二重橋の前で記念写真を撮ったそう。今ではオフィスの窓から二重橋がみえる光景が広がっているようで
「私は夢を追いかけている。」
引用元:世界一の馬をつくるp217より
読み終えて心が軽くなる本でした。